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2024-06-10ひきこもり経験から
お知らせ
社会経験を積み、他人との交流も普通にできていた私が完全にひきこもった時の体験をお話いたします。
支えているご家族を理解するヒントになればと思います。
50歳でひきこもった体験…
私の状況は、燃え尽き症候群と対人恐怖症だったと思います。
頑張りすぎた結果、心と頭を病み、誰にも理解されていないと思い込み、どんどん人が怖くなり、仕事を辞めた直後から、ほとんど外に出られなくなりました。
動けない動きたくない…理由はたくさんあった気がしますが、ただ限界だったのだと思います。人が怖くなり、弱いダメな自分を責めながら自分を隠しました…。
生きるエネルギーが枯渇した状態では、生きる希望や楽しいことに意識が向きませんでした。元気のパワーが苦しくて少ないエネルギーが吸い取られるような苦しさがありました。心も身体も世の中の全てを否定していて、何よりも自分自身を否定していました。
心と頭を癒すために必要な時間は、気付かないうちに3年間が、あっという間に過ぎていました。
ひきこもっている間の時間の流れはとても緩やかで、外とはまったく違います。それはきっと経験した人にしかわからない感覚かもしれません。ゆっくりと心を癒すための時間と、不安に駆られて葛藤する時間を繰り返していた気がします。
怒りから始まる感情の開放
少し頭が回復し始めると、ダメな自分にダメ出しがはじまって、やがて怒りが湧き上がり、自分を苦しめた者たちへの怒りや憎しみ、恨みの様な感情も噴出し止まらなくなりました。自制心が効かず、モノに自分に身近な人に怒りをぶつけたい衝動に何度も何度も襲われました。
これがよく聞くひきこもりの家庭内暴力や暴言なのだと思いました。
抑え込まれた感情の蓋を吹き飛ばすのは怒りの感情であり、年齢や性別は関係ないようです。
もしそれまで大人しかった人が急に家庭内での暴言や暴力を振るい始めたとしたら、それは感情の開放が起こったのだと考えて良いと思います。
怒りは何度も何度も繰り返し、やがて怒りが出なくなると悲しみが噴出し始め、悔しさが噴出し…。そうやって過去の感情の吐き出しが繰り返されます。感情を開放出来ない場合…、その感情をゲームなどで発散しているのかもしれません。もし暴言や暴力が発現した時に備えて、家族は家族会などに参加しながら相談できる相手の確保や、いざという時の心がまえをしておくことをお勧め致します。
ひきこもりの後遺症
長くひきこもると会話が上手くできなくなります。言葉を見聞きしていても自分で声を出して会話をしていないと、言葉を司る脳とのコンタクトが遅くなり、それにより人との会話のテンポが話すのが怖い…、コミュニケーション力の低下などが引き起こされます。
人と目線が合わせられない、緊張して益々言葉が出ない、その状態を何とかしなければ社会復帰など出来ない気がして、人と話せない、何をどう話せばよいのかわからない、会話の仕方を思い出せない状態になっていました…。とにかく人が怖かったです。人に拒否される怖さ、上手く振る舞えない自分の情けなさ、自分に自信の持てない状態で人と繋がることが出来るのか、そんな不安に押しつぶされそうになりました。
挨拶だけでその場をしのぎながら、どうすれば人と繋がれるのかが分かりませんでした。外を歩いても人と繋がりたくても緊張が強くて二度と人に気を許せないような孤独感がありました。そこから家族会や居場所に繋がり少しずつ少しずつ安心安全の意味が分かってきました。
何十年も生きてきて様々な経験を積んだはずの自分が、あんなにも苦しかったことを考えた時、学生時代からひきこもった人や、社会経験の少ない人が初めて社会と繋がることのハードルの高さを感じました。
外に出られるようになってから、仕事に就くまで3年かかりました。
コミュニケーションを必要としない、簡単な仕事から始め、そこにも慣れるのにも半年かかりました。
ひきこもりから4年が過ぎ家族会や居場所で対人関係を学び直し、自分自身の生きづらさの解放へと繋がりました。
自分と同じような立場やつらさを経験した人との交流は、学びであり癒しでもあり自分自身を大いに知ることができました。
そして今、家族会や居場所での活動に取り組んでいます。
一人ではたどり着けなかった今があります。
自分を受け入れてくれる居場所のある有難さを誰よりも強く感じていた気がします。
探してみれば、手を伸ばしてみれば、身近な場所にも優しいご縁があるかもしれません。